「売電収入が月1万円から2千円に激減した…」――卒FITを迎えた家庭からこんな声が増えています。

筆者の知人は2015年にFITを開始し、2025年に卒FITを迎えました。それまで月平均12,000円あった売電収入が、卒FIT後は月2,500円まで下落。「太陽光を続ける意味があるのか」と悩んでいました。

結論から言うと、蓄電池を導入して自家消費に切り替えたことで、電気代が月8,000円以上安くなったそうです。この記事では、卒FIT後の最適な選択肢を2026年の最新データに基づくコストシミュレーション付きで徹底比較します。

屋根に設置された太陽光パネルのクローズアップ
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卒FITとは?2026年時点の最新状況

卒FITとは、住宅用太陽光発電のFIT(固定価格買取制度)10年間の買取期間が終了することです。2019年に最初の大量卒FIT(約53万件)が発生して以降、毎年数十万件が卒FITを迎えています。

FIT中 vs 卒FIT後の売電単価

FIT開始年度FIT中の売電単価卒FIT後の売電単価収入減少率
2012年42円/kWh8.5円/kWh▲80%
2013年38円/kWh8.5円/kWh▲78%
2014年37円/kWh8.5円/kWh▲77%
2015年33〜35円/kWh8.5円/kWh▲75%
2016年31〜33円/kWh8.5円/kWh▲73%
※卒FIT後の売電単価は東京電力EPの標準プラン(2026年時点)

売電収入が4分の1〜5分の1に激減します。一方で電力購入単価は2026年6月の値上げ後、東京電力の従量電灯Bで30〜40.69円/kWh。8.5円で売って30円以上で買う「逆ザヤ」状態が続きます。

卒FIT後の4つの選択肢を経済効果で比較

選択肢①:そのまま安い単価で売電を続ける

何もしなければ電力会社の卒FIT用プランで売電が継続されます。初期費用ゼロですが、経済効果は最も小さいです。

10年間の経済効果:余剰3,000kWh × 8.5円 × 10年 = 約25.5万円

選択肢②:蓄電池を導入して自家消費に切り替え

余剰電力を蓄電池に貯め、夜間に使うことで高い電力購入を避けられます。

10年間の経済効果(10kWh蓄電池の場合):
自家消費の節約:2,500kWh × 36.6円 × 10年 = 約91.5万円
売電収入の減少:▲2,500kWh × 8.5円 × 10年 = ▲約21.3万円
差引メリット:約70万円

蓄電池の実質費用(DR補助金60万円適用後)を100〜130万円とすると、回収期間は約14年。ただし電気料金の値上がり(年2〜3%上昇傾向)を考慮すると11〜12年に短縮される見込みです。

選択肢③:EV(電気自動車)+V2Hで蓄電池代わり

V2H(Vehicle to Home)システムでEVのバッテリーを家庭用蓄電池として使う方法です。EV購入予定がある家庭なら検討の価値ありですが、V2H機器だけで80〜100万円かかるため、蓄電池専用なら家庭用蓄電池の方が経済的です。

選択肢④:新電力に切り替えて高く売る

大手電力より高い単価で買い取る新電力に切り替える方法です。

会社名買取単価
スマートテック14.6円/kWh
エネクスライフサービス13.5円/kWh
東京電力EP8.5円/kWh
※2026年時点の公表価格

スマートテックなら東電の約1.7倍で売れますが、蓄電池の自家消費(36.6円分の節約)に比べると効果は限定的です。

太陽光パネルが設置された住宅の外観

【詳細シミュレーション】蓄電池導入の損益分岐点

シミュレーション条件

  • 太陽光パネル:4.5kW(2013〜2015年設置の標準的容量)
  • 年間発電量:約4,950kWh
  • 自家消費率:蓄電池なし30% → 蓄電池あり70%
  • 電力購入単価:36.6円/kWh(東電 従量電灯B 第2段階)
  • 卒FIT売電単価:8.5円/kWh(東京電力EP)
  • 蓄電池:10kWh、導入費160万円
  • DR補助金:60万円適用

15年間の累計比較

項目蓄電池なし蓄電池あり
自家消費率30%70%
年間の電気代節約0円約7.3万円
年間の売電収入約2.9万円約1.3万円
年間の実質メリット約2.9万円約8.6万円
15年間の累計約43.5万円約129万円
蓄電池の実質費用100万円
15年間の純利益約43.5万円約29万円プラス

蓄電池ありの方が15年間で約85.5万円多くメリットを受けられます。実質費用100万円を差し引いても約29万円のプラス。さらに電気料金の今後の値上がりを考えると、実際の経済効果はさらに大きくなります。

卒FIT家庭が蓄電池を選ぶ4つのポイント

屋根上の太陽光発電パネル

①既設パワコンとの互換性を確認
FIT期間中のパワコンは寿命約15年。卒FIT時にはパワコン交換も検討し、ハイブリッドパワコンに替えれば太陽光と蓄電池を1台で管理できて効率が上がります。

②パネルの残存寿命とのバランス
太陽光パネルの寿命は25〜30年。FIT開始から10年経過でもあと15〜20年は使えます。蓄電池の保証期間(10〜15年)とマッチするか確認しましょう。

③容量は7〜10kWhがコスパ最適
卒FIT家庭の多くは4〜5kWのパネル。この規模なら7〜10kWhがベストバランスです。蓄電池の価格相場でも確認できます。

④全負荷型で災害対策も兼ねる
せっかく導入するなら停電時に家全体に給電できる全負荷型がおすすめ。ダイヤゼブラ EIBS7は200V対応でエアコン・IH・エコキュートもバックアップ可能です。

2026年度のDR補助金:残りわずか、急ぎましょう

2026年度のDR補助金(蓄電池補助金)は上限60万円/件。予算54億円に対し、2026年5月末時点で残予算は約1.63億円と間もなく終了する見込みです。

東京都在住の場合は都の補助金(最大130万円)との併用で最大190万円の補助も可能。蓄電池の補助金一覧で最新情報を確認してください。

補助金は契約前・着工前の申請が原則です。事後申請は認められないため、検討中の方は早めに動きましょう。

蓄電池を入れるべき人・入れなくていい人

蓄電池をおすすめする人

  • 月間電気使用量400kWh以上で電気代が高い
  • パネル容量4kW以上で余剰発電が多い
  • オール電化で昼間不在が多い家庭
  • 停電対策も兼ねたい
  • 補助金が手厚い地域に住んでいる
  • 今後15年以上住み続ける予定

蓄電池が不要な人

  • 月間電気使用量200kWh以下と少ない
  • パネル容量3kW未満で余剰発電が少ない
  • 5〜10年以内に引っ越す予定がある
  • パネルの劣化が激しく、発電量が大幅低下している

蓄電池はやめたほうがいい?の記事も参考に判断してください。

よくある質問(FAQ)

Q. 卒FIT後、何もしなくても売電は続きますか?

A. はい、特に手続きしなくても電力会社の卒FIT用プラン(東京電力なら8.5円/kWh)で自動的に売電が継続されます。ただし売電単価は大幅に下がります。

Q. 卒FIT後の売電単価を少しでも高くする方法はありますか?

A. スマートテック(14.6円/kWh)やエネクスライフサービス(13.5円/kWh)など、大手電力より高い単価で買い取る新電力への切り替えが可能です。ただし電気契約の切り替えが条件の場合があります。

Q. 蓄電池は10年で元が取れますか?

A. DR補助金(60万円)を活用しても、10年以内の回収は難しいのが正直なところです。回収期間は12〜15年が目安。ただし電気料金の値上がりが続けば10〜12年に短縮される可能性があります。「元を取る」だけでなく停電対策や電気代値上がりへの保険としての価値も考慮しましょう。

Q. パネルが古くても蓄電池を付ける意味はありますか?

A. パネルの寿命は25〜30年なので、10年経過後もまだ15〜20年は使えます。発電量が当初の80%以上あれば蓄電池導入のメリットは十分あります。ただし発電量が大幅に低下している場合はパネルの点検を先に行いましょう。

まとめ:卒FIT後は「自家消費切り替え」が最適解

  • 売電を続けるだけでは経済効果が小さい(年間2〜3万円程度)
  • 蓄電池で自家消費に切り替えると年間7〜9万円の節約効果
  • 回収期間は12〜15年だが、電気代値上がりで加速する見込み
  • 2026年度のDR補助金(上限60万円)は残予算わずか、早めの申請を
  • 容量は7〜10kWhがコスパ最適

卒FITは「太陽光発電の使い方を見直すチャンス」です。太陽光と蓄電池のセット価格も参考にしながら、まずは複数の業者から見積もりを取って比較してみてください。

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